News and Announcements [in Japanese]


★ Back Numbers ★
1997: No. 41 [Jan], No. 42 [Mar], No. 43 [May], No. 44 [Jul], No. 45 [Sep], No. 46 [Nov]
1998: No. 47 [Jan], No. 48 [Mar], No. 49 [May], No. 50 [Jul], No. 51 [Sep], No. 52 [Nov]
1999: No. 53 [Jan], No. 54 [Mar], No. 55 [May], No. 56 [Jul], No. 57 [Sep], No. 58 [Nov]
2000: No. 59 [Jan], No. 60 [Mar] 

★地磁気センターニュース No.61/2000年5月26日発行★

1.新着地磁気データ
   前回ニュース(2000年3月24日発行,No.60)以降入手、または、当センターで入力したデータ   
  の内、主なものは以下のとおりです。(観測所名の省略記号等については、データカタログ       
  (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。)                            

   Newly Arrived Data
    (1)Analogue Data
      Annual Reports and etc.:
                Finnish Obs(SOD, OUJ, HAN, NUR, Apr 2000), Hatizyo(1998), Dombus(1998)       
                Niemegk(Mar.- Apr. 2000), Kiruna(Jan.-Jun. 1999.), Misallat(1997), BNG(1956,1958-64)
                LRV(1999), CLF(1936-55, 1957-69), DRV(1959-60, 62-63), KSA(1938-64)          
                MBO(1952-64), NTS(1923-58), PAF(1956, 1959-63), SCO(1935-36)
                TAN(1933-34, 1938-41, 1948-58), TAN(1953-56), VLJ(1915-36)

    (2)Digital Data
      Geomagnetic Hourly Values:
                KAK, MMB, KNY(Mar.-Apr 2000), YAK(1991-94), CLF(1956-59)

      Geomagnetic 1 Minute Values:
                HTY(Jan.-Mar. 2000), KAK,MMB,KNY(Mar.-Apr. 2000), VAL(Feb.-Apr. 2000)        

      Geomagnetic 1 Second Values:
                KAK,MMB,KNY(Mar.-Apr. 2000), CZT(1978-85), HTY(Jan.-Mar. 2000), PAF(1978-93)

      Magnetogram Images:
                HON(1979-83: normal-run magnetogram)
                MBO(1979-86:     〃     )
                PPT(1979-86:     〃     ) 

        (3)Kp index
                Kp-Index Table(Mar.- Apr., 2000)

2.一時間値Dst指数の算出と配布・1分値ASY/SYM指数の算出
   2000年2月〜2000年3 月までのDst指数(Provisional)を算出し、関係機関に配布しました。ご希望
の方は、郵便またはファクシミリにて、京都大学大学院理学研究科地磁気世界資料解析センターまでお申し
込み下さい。なお、Quick Look Dst指数 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/dstdir/)および Quick Look AE指数 
(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/aedir/ae/quick.html) は2〜3日の遅れで当センターのホームページから利用
できます。また、2000年4月までの1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せました。

3.1999年QL-AE指数のダウンロード公開について
    QL-AE indexのdigital data 1999年分のdown loadをwwwで公開しました。QL-AEではデータが未修
    整であり、特に1999年分はノイズが多いので、Quick-Lookの目的以外には責任が持てませんが、多
    くの方々からのリクエストにより公開するものです。

4.八丈観測所(水路部)地磁気1秒値データの提供とホームページからの公開
 海上保安庁水路部八丈観測所(Hatijyo, HTY)のご厚意により、地磁気1秒値データが当センターを通し
て公開されることになりました。期間は今年1月分からで、気象庁地磁気観測所提供の柿岡・鹿屋・女満別
1秒値データと同じページ(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/index.html)から利用できます。フラックス
ゲート型磁力計による観測で分解能は0.1nTです。

5.EOPG(フランス)による南インド洋Crozet(CZT),Port Aux Francais(PAF)での地磁気2秒サンプル値デ
ータの提供とホームページからの公開
 M.Bitterly、J.Bitterly両博士のご厚意により南インド洋Crozet(CZT)およびPort Aux
Francais(PAF)、で取得された地磁気2秒サンプル値データがEOPG(Ecole et Observatoire de Physique du
Globe)から提供され、当センターホームページを通して公開されることになりました。柿岡・鹿屋・女満別
・八丈1秒観測値データと同じページから利用できるよう、2秒サンプル値を2回繰り返して並べ、形式上
1秒値データと同じ形にしました。また、提供されたデータにはベース値は無く、変化データのみで、かつ、
HDZのDは、Hと直交成分のnT単位で与えられてましたので、これも、形式を他の1秒値観測所データと
そろえるため、観測所年報で与えられた絶対観測値を変化データに単純に足して暫定的なベース値とし、通
常のHDZ座標系にしてあります(偏角Dは角度の単位)。それゆえ、絶対値が問題になるような解析には、
別のページから利用できます1時間値あるいは1分値データをご利用下さい。フラックスゲート型磁力計に
よる観測で分解能は0.1nTです。データ期間は、Crozet(CZT)が1978年-1985年、Port Aux Francais(PAF)が
1978年-1993年で、柿岡の1秒観測値よりさらに古く、地磁気脈動等の研究には貴重な資料になると考えら
れます。なお、同期間、同観測所の誘導磁力計データおよびDumont d'Urville (DRV)のデータも同時に提供
されましたが、これらにつきましては座標系等の関係上ソフトウェアの改造が必要なため、準備が出来次第
公開させていただきます。

6.オンラインマグネトグラム画像の現状と追加について
 昨年より開始しましたマイクロフィルム等に記録されたアナログ地磁気観測データ(マグネトグラム)の
画像オンライン化は、科研費(S-RAMPデータベース、STPデータベース)等の補助により、下記(表1)の観測所と期間が利用可能と
なっております。今年度もディジタルデータが利用できない地域と期間を対象に、画像オンラインファイル
化を進める予定です。画像はTIF形式で、http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/film/index.html  から利用できま
す。

7.Kp指数の訂正について
当センターホームページでサービスしておりますKp指数の2000年3月分につきまして、算出元         
(GeoForschungsZentrum (GFZ) Potsdam, Germany)から訂正の通知がありましたので、
上記のデータを2000年4月12日までに取得されました方は再度取得されますようお願いします。       
以下に通知のメールを添付します。
===============================
>From kp_index@gfz-potsdam.de Wed Apr 12 00:04:42 2000
Dear colleagues,

Due to resent K numbers of Canberra observatory
of March 16-31 2000 we had to recalculate the Kp numbers for
March 16-31. Please find enclosed the correct numbers.
Please excuse me for the troubles which are connected with this.

With my best regards

8.人事異動
  平成12年4月1日付けで家森俊彦センター長就任

9.エールステッド衛星国際科学班(OIST)会議に出席して

 5月2日から4日まで南フランスの香水の都グラース(Grasse)で開かれたエールステッド(Oersted)衛星打
ち上げ(昨年2月23日)後最初の科学班会議に出席しました。出席者は13ヶ国54人で、日本からは私
一人だけでしたので、この場を使って会議の概要を報告します。
 Oersted衛星は、デンマークによる初の人工衛星で、Magsat衛星以来20年ぶりの地球磁場精密観測を主
要目的にしているため、磁場の強さHのCGS電磁単位名で知られる同国の科学者エールステッドにちなん
でこの名前が付けられている。高度500-850kmの極軌道衛星で、磁力計(オーバーハウザーおよびフラッ
クスゲート)、高エネルギー粒子計測器およびGPS受信機が搭載されている。この衛星の特徴の一つは、
磁場ベクトルを精密に観測するため、約1秒毎に姿勢を高精度で決定するスターカメラを衛星から伸びたマ
スト上のゴンドラにフラックスゲート磁力計と一体化して載せられていることで、マストの歪みや捻れの問
題を避けることが出来る。実際、時々発生する数秒周期のマストの微小な振動が姿勢データにも再現されて
いることには驚かされた。
 もう一つの特徴は、GPS受信機を使って軌道を正確に求めていることで、これも地球磁場の精密決定に
とって重要なポイントとなる。この受信機のデータから電離層の3次元トモグラフィーを行っているグルー
プは信楽MUレーダー観測との比較も行っていて、なかなかきれいな結果を出していた。
 会議は、主として現状報告と今後のデータ処理や運用の計画など、実務的色彩の濃いもので、解析結果の
発表はすべてポスター発表になった。現段階ではまだ連続したデータは公開されていなくて、かつ、データ
処理にも一部問題があり、1979年に打ち上げられたMagsatの時ほどには画期的な新しい結果の報告はなか
ったが、しかしそれでもいくつかの興味深い初期結果が報告されていた。
 この衛星に続いて、同様の(おそらくそれ以上の)精度で磁場観測をするドイツのCHAMP衛星は7月
15日に打ちあげられる予定で、またエールステッドとほぼ同じ装置(磁力計の性能はエールステッドより
向上)を一部として搭載したSAC-C (Argentinean/US remote sensing satellite: Orbit: 702km, 98degree
10:15-22:15 local time fixed)が、9月24日以降に打ちあげられるとの報告もあり、当分地磁気精密観測デ
ータが続々と出て来て、地球主磁場、地殻磁気異常、沿磁力線電流だけではなく、低高度衛星観測による地
磁気脈動等の関係の話も賑わうと予想される。この他、SWarm satellitesやAMPERE衛星等提案中の計画の
紹介もあった。約50名の小さな会議にもかかわらず、どういう訳かIAGA第5分科会(GEOMAGNETIC
OBSERVATORIES, SURVEYS AND ANALYSES)のメンバーが私も含め7-8名そろったので、臨時のWGも
開かれた。
 会議は町はずれの別荘のような感じのホテルで開催され、昼食からふるまわれるおいしいワインも手伝い、
私にとっては今まで参加した国際会議の中で最もゆったりした雰囲気の会議でした。エクスカーションは、
南仏のリゾート地にもかかわらず、近くの山頂にあるグラース観測所という天文台に真夜中に出かけ見学す
るという、極めて真面目なもので、いくつかある望遠鏡のうち、2つの望遠鏡から測地衛星(例えば日本の
『あじさい』衛星)や、日によっては、月面上に設置された反射鏡に向けて発射されるという、ピーク値数
十ギガワットの強烈なレーザー光が、あざやかな緑の光跡を描いて満天の星空に吸い込まれてゆくさまは、
宇宙空間の奥行きを実感させる大変印象的なものでした。

追記: 飛行機の関係で、5月1日の会議前日は自由時間があり、ニースの町を歩き回ったあと、列車に乗
ってカンヌに行き、そこからバスでグラースに向かう予定だったのですが、当日はメーデーのため、ストラ
イキがあったわけではないのですが、バスがほとんどすべて運休で、カンヌからはタクシーを利用せざるを
得ませんでした。ニースにあるマティスやシャガールの美術館もすべて休館で、ただひたすら町を歩き回り
ました。この日は町の中や田舎道の至る所で花を売っていました。タクシーの運転手によると、フランスで
は、この日だけは誰でも自分で作った花を売って小銭を稼いでもよい日なのだそうです。
                                       (家森俊彦)