News and Announcements [in Japanese]


★ Back Numbers ★

1997: No. 41 [Jan], No. 42 [Mar], No. 43 [May], No. 44 [Jul], No. 45 [Sep], No. 46 [Nov]
1998: No. 47 [Jan], No. 48 [Mar], No. 49 [May], No. 50 [Jul], No. 51 [Sep], No. 52 [Nov]
1999: No. 53 [Jan], No. 54 [Mar], No. 55 [May], No. 56 [Jul], No. 57 [Sep], No. 58 [Nov]
2000: No. 59 [Jan], No. 60 [Mar], No. 61 [May], No. 62 [Jul]


★地磁気センターニュース No.63/2000年9月27日発行★

1.新着地磁気データ
      前回ニュース(2000年7月14日発行, No.62)以降入手、または、当センターで入力したデータ    
    の内、主なものは以下のとおりです。(観測所名の省略記号等については、データカタログ         
  (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/obs-j.html) をご参照ください。)                            

      Newly Arrived Data
        (1)Analogue Data
      Annual Reports and etc.:
                Finnish Obs.(SOD, OUJ, HAN, NUR, Jun.-Aug. 2000)
                Australian Obs.(KDU, CTA, LRW, ASP, GNA, CNB, MCQ, MAW, 1996)
                AQU(1998), TNB(1997-98), NGK(Jul. 2000)
                SOD(1999), MMB,KAK,KNY,CBI(1999)

      Normal Run Magnetogram:
                SVD(Jul.-Dec. 1997), IRT(Oct.-Dec. 1997)

        (2)Digital Data
            Geomagnetic Hourly Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/hyplt/index-j.html)
                CLF(1941-50), HTY(Jun. 2000), KAK,MMB,KNY(Jul.-Aug. 2000)
                KNZ, MIZ, ESA(Jul.-Aug. 2000)

            Geomagnetic 1 Minute Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/mdplt/index-j.html)              
                VAL(Jun.-Aug. 2000), HTY(Jun. 2000), KAK,MMB,KNY(Jul.-Aug. 2000)

            Geomagnetic 1 Second Values: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/index-j.html)               
                HTY(June 2000), KAK,MMB,KNY(Jul.-Aug. 2000)

        (3)Kp index: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/kp/index-j.html)
                Kp-Index Table(1932-56, Jul.-Aug. 2000)

        (4)Magnetogram digital image files: (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/film/index.html)             
                ABG(1979, 83-85, 88-90, 93-94), BNG(1979-86), HYB(1979-85), TRD(1994), TOL(1991)

 2.一時間値Dst指数の算出と配布・1分値ASY/SYM指数の算出
    2000年5 月〜6月のDst指数(Provisional)を算出し、関係機関に配布しました。ご希望の方は、郵便ま
たはファクシミリにて、京都大学大学院理学研究科地磁気世界資料解析センターまでお申し込み下さい。な
お、Quick Look Dst指数 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/dstdir/)および Quick Look AE指数 (http://swdcdb.ku
gi.kyoto-u.ac.jp/aedir/ae/quick.html) は2〜3日の遅れで当センターのホームページから利用できます。また、
2000年8月までの1分値ASY/SYM指数を算出しホームページに載せました。

3.オンラインカタログの更新
  ホームページ上の全観測所データカタログ(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/catmap/index-j.html)のマスター
ファイルが9月8日現在の情報に更新されました。ホームページ上のデータカタログでは、他に指定された
緯度・経度の範囲内の観測所についての印刷されたカタログに準じた観測所情報のリスト出力・オンライン
利用可データの月別リスト(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/mag_map/obs-j.html)及びPDF版データカタログN
o.25(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/pdf/Catalogue/Catalogue99.PDF)が利用できます。また、オンライン利
用可地磁気データの先週の追加情報はhttp://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/wdc/onnew/onnew-j.htmlでご覧になれ、
4週間前まで遡ることができます。

4.Provisional Geomagnetic Data Plots No.21(Jan.-Jun.,2000) の印刷と配布
 世界各地で測定された地磁気1分値データをプロットした 'Provisional Geomagnetic Data Plot No.21' を印
刷し、配布致しました。期間は2000年1月から6月までです。新たに配布御希望の方は、当センターまで
お申し込み下さい。また、ポストスクリプトファイルによる画像データも、当センターのホームページに追
加しました。こちらは、2000年7月まで利用可能です。図の形式は2日分が1画面です。

5.地磁気データダウンロード方式の改善
 かねてからご利用いただいております、地磁気1時間値 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/hyplt/index-j.html)、
1分値 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/mdplt/index-j.html)、1秒値(http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/shplt/index-j.h
tml)、およびASY/SYM 指数 (http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/aeasy/index-j.html)のデータ出力及びポストスク
リプト形式の図形ファイルの出力方式が、よりエラーの少ない方式に変更されました。                 

6.地磁気豆知識(12) − 磁極の位置と偏角の関係
 磁石(コンパス)は「磁極」の方向を指していると「誤解」している人が多いので、多少解説を書かせて
いただく。もちろん、上記の理解は低緯度ではおおよそは(約10-30度程度の誤差内では)正しい。     

 北磁極という言葉は、通常下記の2とおりの意味で使われている。
 (1) 磁力線(あるいは地磁気)が真下を向く点(伏角90度)で、鉛直面内で回転できるコンパスがあ 
ったとすると、真下を指すことになる。ただし、このような地点は1点だけとは限らない。また、電離層や
磁気圏を流れる電流の影響により、数十キロメートル程度は刻々移動していると考えられる。           
 (2) 地球の磁場(地磁気)を、地球の中心に置いた双極子(ダイポール)型磁場で近似したときに、双 
極子の軸が地球表面と交わる点と定義される。現在、北半球では、グリーンランドの北西の端付近にある。
この場合は、1点に限られるが、必ずしもその地点でコンパスが真下を向くとは限らない。磁軸極という言
い方をすることもある。
 上記のような紛らわしさの生じる理由は、地球中心核でのダイナモ(発電)作用により流れる電流が作る
地球の磁場が単純な双極子型の磁場ではないこと、更に、地域によって帯磁した地殻(岩石)が存在する 
(磁気異常)ためである。

 ところで、偏角は、その地点でコンパスの指す方向(すなわち磁場ベクトルの方向)を、地理的真北(自
転軸の方向)から水平面内で東回りに測った角度として定義される。偏角の方向は、その付近の磁気異常の
影響を受け、上記どちらの磁極の方向とも一致しない。例えば、京都における現在の偏角はおよそ−7度、
すなわち、コンパスは西に約7度の方向を指すが、ダイポール磁場の極の方向(磁軸極)は、反対に、東に
約6度の方向にある。それゆえ、磁極の方向からは、約13度ずれていることになる。これは、シベリアに
中心がある大規模な磁気異常の影響である。場所によっては中緯度でも30度以上ずれている地点があり、 

例えば、インド洋にあるフランスの観測所Martin De Vivies (AMS)では、約34度(!)も異なる。磁気図がい 
まだに有用な理由の一つはここにある。

 地球の磁場は、5年毎にIAGA(INTERNATIONAL ASSOCIATION OF GEOMAGNETISM AND AERONO
MY )により国際標準磁場モデル(IGRF - International Geomagnetic Reference Field)とよばれる球関数の係数
で表現されたモデルが決定されている。このモデルを用いれば、与えられた地点での地磁気が計算されるが
狭い範囲の磁気異常までは表現できない。それ故、上の(1)の定義に従った北磁極を探すのは困難で、(お 
およその位置は分かるが)実際に磁極付近で磁気測量を行って決定する必要がある。詳しくは、http://www.
geolab.nrcan.gc.ca/geomag/e_nmpole.html をご覧下さい。

 それにたいし、(2)の定義は、数学的な定義で、上記球関数で展開したときの、最初の3つの係数を用い 
て簡単に計算で求めることができる。添付の表に、この方法で求めた過去400年間の磁極(磁軸極)の緯度
(北緯)・経度(東経)を示す。
なお、当センターホームページ http://swdcdb.kugi.kyoto-u.ac.jp/igrf/map/ に載せた磁気図で、Inclination
(伏角)の Northをクリックすると、90度になるのがどの辺りか見当がつくとともに、双極子の極とは
かなりずれていること、地磁気はかなり歪んだ形をしていることも分かると思います。

                         北緯     東経
年      北緯    東経     度 分   度 分
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1600    82.858   -38.495    82   51  -38  -30
1700    81.567   -47.017    81   34  -47   -1             (表の説明)
1800    79.150   -59.825    79    9  -59  -50              地球磁場モデルによる双極子磁場の極の位置。
1845    78.731   -64.314    78   44  -64  -19              1900年以降がIGRF(またはDGRF)モデル。
1900    78.614   -68.792    78   37  -68  -47              それ以前は個々の研究者によるモデル。
1905    78.607   -68.749    78   36  -68  -45
1910    78.587   -68.721    78   35  -68  -43
1915    78.568   -68.569    78   34  -68  -34
1920    78.556   -68.376    78   33  -68  -23
1925    78.554   -68.273    78   33  -68  -16
1930    78.526   -68.260    78   32  -68  -16
1935    78.493   -68.359    78   30  -68  -22
1940    78.465   -68.508    78   28  -68  -30
1945    78.466   -68.531    78   28  -68  -32
1950    78.466   -68.847    78   28  -68  -51
1955    78.479   -68.164    78   29  -69  -10
1960    78.510   -69.467    78   31  -69  -28
1965    78.535   -69.854    78   32  -69  -51
1970    78.591   -70.177    78   35  -70  -11
1975    78.687   -70.470    78   41  -70  -28
1980    78.806   -70.759    78   48  -70  -46
1985    78.974   -70.896    78   58  -70  -54
1990    79.138   -71.127    79    8  -71   -8
1995    79.296   -71.407    79   18  -71  -24
2000    79.542   -71.572    79   33  -71  -34

7.ロシアのAE観測所の整備計画(PURAES/SWME)

 当WDCでは1978年からAE指数を作成しています。また、ロシアの劣悪な経済状況のためAE観
測所の運営などに関し1990年頃よりAARI、WDC(モスクワ)などと協力しAE観測所を援助してき
ました。今回急に米国アラスカ大学、ジョンズ・ホプキンズ大学(APL)との協力を得て、ロシア側は
モスクワのInstitute for Dynamics of Geospheres(IDG)とザンクトペテルブルグのArctic and Antarc
tic Reseach Institute(AARI)、日本側は京都大学地磁気センターと郵政省通信総合研究所との間でProj
ect for Upgrading Russian AE Stations in cooperation with Space Weather Magnetometer Experi 
ment (PURAES/SWME)というプロジェクトを行うことになりました。SWMEはIDGとアラスカ大学
のプロジェクト、PURAESはIDG+AARIと京大+通総研のプロジェクトという2つの2国間協力プ 
ロジェクトの形にしてあります。
 このプロジェクトでは1996年に閉鎖されたCape Wellen (66.17N, 190.17E)の代替としてPevek-Va
lkarkay (70.09N, 170.93E)の観測を開始し、Cape Chelyuskin (77.72N, 104.28E), Tixie-AARI (71.58
N, 129E), Dixon (73.55N, 80.57E) を整備し、Amderma (69.46N, 61.41E), Norilsk (69.20N, 88.00E)
も将来のAE観測所として整備することになります。これらの観測所には「ひまわり」又はMETEOS
AT経由の準リアルタイム送信機、フラックスゲート磁力計、DI-flux絶対測定磁力計を配置し0.1秒値
の記録も行うことにする計画で調整を開始しました。
現在QLAE指数として、9観測所を用いたAE指数を1日毎にWWWで公開しております。これを全
観測所使用で1日ごとからまず1時間毎程度に、将来的には15分毎程度にまでスピードアップする事
を考えています。